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エストロゲンに関する論文特集

更年期障害に大きく関わる女性ホルモン「エストロゲン」は、欠乏すると体に色々な影響を与えます。

このページでは、エストロゲンに関わる論文を3つまとめているので、エストロゲン不足の影響や治療方法、治療後との比較結果などを知ることが可能です。エストロゲンについて知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

【論文】E.婦人科疾患の診断・治療・管理

月経前に起こる婦人科疾患PMSの診断・治療・管理において、定義や症状の説明をまとめています。

PMSの定義

月経前症候群(PMS)は月経前の3~10日間続く症状で、月経が近づくにつれて改善するものです。全女性の50~80%に起こると報告されており、症状も200以上あると言われています。診断基準にはAmerican College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)practice bulletin のPMSの診断基準を用いています。

ただし、現状でPMSの治療を受けている方は、全体の3~7%しかいません。

PMSの原因・病態生理

PMSの発症にはさまざまな要因が関わっており、完全なメカニズムは未だに分かっていません。現在ではセロトニンの活性に関与するプロゲステロンが原因ではないかとも言われています。しかし、欧米では生理前の状態から症状が出ていることとPMS症状の発現の違いなどから、この説には否定的です。

また、ドーパミンとセロトニンの生成において補酵素の働きをするビタミンB6が低下することで、PMSの症状を引き起こすと考えられています。

PMSの症状・診断

症状や診断基準においては、American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)practice bulletinのデータを元に診断しています。

身体的に多いものは腹痛や乳房緊満感、腰痛などの症状です。精神的な症状としてはいらだち・易怒感・眠気・抑うつ感が見られます。

症状は年齢・出産経験・就労によって症状に違いが出るのが特徴。実験で20代は頭痛や肩こり、イライラが主な症状なのに対し、30~40代では、むくみやアレルギー、攻撃的症状、頭重などが現れました。

PMSの鑑別診断

PMSの鑑別で最も重要なのが月経困難症とうつ病、PMDD、気分変調性障害不安障害などの診断です。PMSの症状と似た病状を特定して除外することで、正確な診断が行なえます。PMSの症状を知るためには即時的記録・前方視的記録が重視され、近年では症状を記した複写症式記入基礎体温用紙(PMSメモリー)が活用されています。

PMSは「30歳代中期症候群」とも呼ばれており、他の病気との混同を避けるために最初に鑑別することが重要です。症状ごとに簡易的な診断や厳しい基準を用いて鑑別することで、しっかり区別できます。

PMSの治療

PMSの症状や判別の仕方については知られていますが、治療法についての研究は公開されていません。しかしPMSの診断と重症度の把握をすることで、症状に合わせたPMSの改善が可能です。

非薬物療法では毎日の症状日誌や食事療法、運動やストレス管理などを行ない、精神面の負担が大きいPMS患者の症状改善をはかります。

身体面の症状が多いPMSでは、排卵抑制用のEP剤や漢方などを処方。疼痛や乳房痛にはそれぞれNSAIDs、ブロモクリブチンといった症状を抑制する薬を投与します。

重症化しているPMSでは非薬物療法を中心に行ない、補助として薬物療法で治療するのが一般的です。セロトニンの低下がイライラや抑うつの原因と考え、あまりにも情緒不安定な場合は抗うつ薬のSSRIを使用。SSRIは効果が出やすいことから、排卵後の黄体期に投与するだけで十分な効果が見込めます。

【論文】更年期に関する講演資料(2016.6.16)

高齢化に伴い重要視されるようになった更年期問題について、症状や体の変化、治療方法などをまとめた資料です。

更年期とは

更年期は閉経の前後5年間を指す言葉で、卵巣機能が急激に低下する時期です。女性ホルモンの低下や自律神経の乱れなど、身体的・精神的な障害が出やすくなります。エストロゲンが欠乏しやすくなり、高脂血症・動脈硬化・骨粗しょう症にかかる可能性も高くなる時期です。

体に起こる変化

ホルモンの変化

卵巣の機能が低下するため、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」が急激に減っていきます。エストロゲン不足になると視床下部と下垂体にある2つの性腺刺激ホルモンのFSHとLHが増え、血中のホルモン量が上昇する状態です。

月経不順

エストロゲンと黄体ホルモンの分泌が乱れはじめ、排卵が起きず月経不順になりやすくなります。ホルモン分泌が乱れることで月経期間が短縮する頻発月経になったり、揮発月経や機能性出血が起こったりします。

不定愁訴

更年期に見られる症状として、顔面の紅潮や発汗、熱感などのホットフラッシュがあります。エストロゲン量が低下することで内分泌環境が変化。大脳皮質の血管運動中枢を刺激して血管拡張を引き起こします。更年期に起こる不定愁訴は、ホットフラッシュ以外にも手足の冷えやめまい、うつ症状などが確認されています。

乳房の変化

胸にある乳腺組織は女性ホルモンであるエストロゲンの感受性が強いため、更年期のエストロゲン低下に伴い小さくなります。

生殖器・泌尿器に起こる変化

生殖器の変化は、閉経してしばらく経ってから出現。外陰部や膣壁はホルモンの影響を受けやすく、膣粘膜がホルモンの減少で小さくなるにつれて老人性膣炎や萎縮性膣炎などの症状が現れます。

また、膣粘膜と同じように尿道も粘膜が縮み、尿道炎や無菌性の膀胱炎を発症するケースも。尿道を閉じる力も弱くなるため、腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁などの不本意な尿漏れが起こる可能性が高くなります。

骨の変化

女性は閉経後にエストロゲンが低下するとともに、骨密度も急激に下がります。骨吸収抑制因子として働くエストロゲンが少なくなることにより、骨から血中へカルシウムが溶け出してしまうことが理由です。カルシウムの量が減り、骨量・骨密度が減少。そのため骨粗しょう症が起こりやすく、脊椎や腕、太ももなどの骨折が増加していきます。

脂質代謝の変化

エストロゲンの低下に伴い肝臓の悪玉コレステロール受容体が減ることで、血中の悪玉コレステロールが増加。徐々にドロドロ血液となり、血管を狭くします。そのため、動脈硬化が発症しやすい状態に。

閉経前の2~3年ほどは総コレステロールと悪玉コレステロールが増加しはじめ、そのまま高い値を保つようです。

ホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)

ホルモン補充療法はエストロゲン不足によるさまざまな症状を治療する方法で、エストロゲンを薬で補います。ただしエストロゲンを単独投与するとがんの発生率が上がることから、近年では黄体ホルモンを併用する方法が主流です。

HRTでは周期的投与法・周期的併用投与法・持続併用投与法・単独投与法の4方法でエストロゲンを補充します。周期的投与法と周期的併用投与法では1ヵ月程度エストロゲン製剤を投与し、2週間は黄体ホルモンを併用。持続併用投与法ではエストロゲンと黄体ホルモンを同じ期間投与します。例外として、子宮を切除した女性にはエストロゲン単独の処方を行ないます。

HRTは期待する効果により、短期的効果・中期的効果・長期的効果に分類。特に短期的効果は更年期症状を緩和する効果が高く、治療にも使われています。人によっては1~2週間で症状が改善するケースも報告されています。

【論文】「働く女性の月経関連障害及び更年期障害のQWL (Quality of Working  Life)に及ぼす影響に係る )研究・開発、普及」研究報告書

月経関連障害および更年期障害のQOLに関わる研究をまとめた報告書です。研究の背景や目的、方法などを紹介しています。

研究の背景

40~50代の就労女性は、知識や技術、経験を活かした職場での活躍が期待されています。しかし近年は、職場や家庭のストレスがもとで更年期障害が起こり、離職する女性も多数。

労災病院14施設で実施した「産婦人科受診女性に対する更年期指数評価による調査」では、40代で27%、50代で20%が更年期外来を受診し、継続治療が必要な更年期障害に悩んでいることが判明しました。

また、更年期障害がQOLに及ぼす影響調査では、活力や心の健康、全体的健康感など全ての項目で優位にQOLを低下させていることがわかっています。

研究目的

更年期障害の治療に用いられるエストロゲン製剤は、ホットフラッシュや睡眠障害などの各症状を緩和することが報告されています。これまでの調査研究により、更年期障害は働く女性のQOLを低下させていることが明らかになりました。そのため、更年期障害の相談や治療などの必要性が高まっています。

この研究では、経口摂取または経皮でのエストロゲン製剤を使い、更年期障害を抱える女性のQOL向上を検討するために、調査を行ないました。

研究方法

更年期症状がある対象者に実験の説明をして同意を得たうえで、ホルモン補充療法(HRT)を実施。対象者23名に薬剤投与前、投与後1ヵ月、投与後3ヵ月、投与後6ヵ月の4回に分けてアンケートを行ないました。簡略更年期指数(SMI)とSF-36v2™を使い、治療前・治療後のQOLの変化をチェックしています。

また、t検定で簡略更年期指数(SMI)とSF-36v2™のスコア変化について統計解析を行ないました。

結果

簡略更年期指数(SMI)評価の変化

治療前・治療後のアンケートを比較し、高い改善傾向が見られたのは「寝つきが悪い、または眠りが浅い」「汗をかきやすい」の項目でした。数値は少し下がるものの、「顔がほてる」「頭痛・めまい・吐き気がよくある」も改善傾向にあります。

年齢別の調査では40代で「寝つきが悪い、または眠りが浅い」「汗をかきやすい」、50代で「寝つきが悪い、または眠りが浅い」「汗をかきやすい」「顔がほてる」の改善傾向が高くなりました。

しかし、「腰や手足が冷えやすい」はどの年代でも悪化しています。

 SF-36v2™によるQOLの変化

更年期障害の治療に対して「日常役割機能(身体)」「体の痛み」「心の健康」項目が高い改善値を示しました。ほとんどの項目が改善傾向にありましたが、QOLの国民標準値である50には足りていません。

統計では、「日常役割機能(身体)」「体の痛み」「心の健康」「活力」「社会生活機能」が明確に減少したことが分かっています。

まとめ

今回の簡略更年期指数の調査では、以前の報告のように血管運動系の症状は改善されたが精神症状や不定愁訴の改善は見られませんでした。理由としては、対象者の背景の違いや、使用した薬剤の違いなどが考えられます。

SF-36v2™の調査は8項目中6項目で改善が見られましたが、身体機能および日常役割機能(精神)では明確な改善傾向が示されませんでした。結果を踏まえて、今後は更年期障害の評価とSF-36v2™の治療効果調査の有用性を検討する必要があるでしょう。

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